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平安時代のモンスターハンター源頼光と四天王

 

こんにちは 松永忠次郎です。京都では3年振りの祇園祭が再開され、お祭は大切な神事という意味合いからも疫病退散の願いが届きますように。

歌舞伎や古典芸能の作品の中に、源頼光と四天王と呼ばれた家来たちが、もののけを退治する話の作品が多くあります。

鎌倉時代から100年余り前、平安時代に源満仲という源氏のリーダーが現在の兵庫県川西市の辺りで武芸に自信のあるツワモノたちを集めた武力集団を率いていました。そのあと息子の頼光が引き継いで京に上り、朝廷に歯向かう地方豪族たちを成敗した史実と、もののけたちがばっこしていたとよく言われているダークネスな平安時代のイメージが重なり、寓話化されていったのではないでしょうか。

四天王のメンバーは、碓氷貞光 渡辺綱 坂田金時 卜部季武 の四人です。

頼光たちの活躍する長唄の作品をご紹介しましょう。

「蜘蛛拍子舞(くものひょうしまい)」

1781年初世杵屋佐吉(きねやさきち)が作曲しました。

頼光の寝所に艶やかな女に化けた蜘蛛の精が忍び込み、刀鍛冶の小鍛治宗近(こかじむねちか)の娘だと偽るので刀の問答となります。それを廓ばなしに当てはめ、三味線とお囃子のリズミカルな伴奏に合わせて語り踊る所が見せどころです。後半は次第に本性を現す蜘蛛の精と頼光・四天王一行が戦います。ストーリー性があり演奏会などでもとても人気のある曲です。

同じく蜘蛛の精が寝所を襲う曲に、「土蜘蛛(つちぐも)」があります。

能の「土蜘蛛」を元に1862年十一世杵屋六左衛門(きねやろくざえもん)が作曲しました。上中下の三部作が完成したのは1874年とも伝えられていて、三部作通すと50分にもなる大作です。上の曲切禿(きりかむろ)がよく演奏されます。

綱館の段(つなやかたのだん)」

1869年十一世杵屋六左衛門の作曲で、四天王の一人、渡辺綱(わたなべのつな)が夜な夜な人に害を成す鬼、茨木童子の腕を羅生門で切った後日談。綱の育ての恩ある叔母に化けて、腕を取り返しに来る物語です。演奏用の曲として作られとても完成度の高い人気曲です。

余談ですが、2月の節分で行う「豆まき」。”「渡辺さん」だけは豆まきしなくてもいい”という言い伝えがあるそうです。

/羅生門

歌舞伎の舞踊劇、「土蜘蛛」「茨木」も人気があります。前述の曲の歌舞伎版です。明治時代の

高尚な芸術性を高めていく意欲を感じる三世杵屋正治郎(きねやしょうじろう)の大作です。

昭和になって作られた、中村勘三郎家の「大江山酒呑童子(おおえやましゅてんどうじ)」十四世杵屋六左衛門作曲も忘れたくない大作です。

 

昔話にある箱根足柄山の金太郎は、坂田金時の幼少時代の話です。こちらは金時の母八重桐(やえぎり)の登場する「山姥もの」というシリーズで「こもち山姥」「冬の山姥」「四季の山姥」があります。

 

今回紹介しました曲が歌舞伎公演や長唄演奏会に上演される予定があれば、お知らせいたします。

是非、劇場に足をお運びいただき、鑑賞してみてください。

松永忠次郎

 

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